一般に機械システムは非線形特性を持ち(複数の平衡点が存在し、それらの安定性も様々で)、予測不可能な非線形挙動を示す可能性がある。安全性や信頼性を確保するために、非線形挙動が生じないよう、高剛性な(その結果重量化してしまう)機械システムが、狭い動作範囲(振り子でいえば近似sinθ≒θが成り立つ狭い動作範囲)で利用されてきた。しかしながら近年の、機械システムに対する高機能・高機能化への期待は、柔軟化・軽量化さらには動作範囲の拡張(振り子でいえば近似sinθ≒θが成り立たない範囲)を要請し、もはや無視できなくなったシステムの非線形性といかに向きあい、安全性や信頼性を確保しさらに向上していくかが重要な課題になっている。

そこで本研究室では、これまでの発想とは逆に、元々システムに内在する非線形性によって生じる非線形現象の複雑性や多様性を積極的に利用して従来手法の限界を打破する、様々な革新的な制御手法を構築している。さらに、提案した制御手法を幅広く適用し、ナノスケール(エネルギーハーベスターやメカニカルフィルターなど)からマクロスケール(鉄道車両・自動車・飛行機・宇宙機など)までさまざまな機械システムの高機能・高性能化を実現している。

参照: 振り子のダイナミクスと役に立たない(?)学問のすすめ (慶應義塾大学理工学部、学問のすゝめ<サイエンス編>

藪野研究室の紹介

藪野研究室では、機械システム全般を対象として(ナノからマクロまですべてのスケールのシステムをカバーします)、ダイナミクスの解析と制御に関する研究をしています。もともとは機械工学を支える4力学(材料力学・熱力学・流体力学・機械力学)の一つである機械力学をベースとして発足した研究室ですが、現代的な数理物理学の方法論を駆使することにより、旧来の機械力学の範疇を脱し、10年20年先を見越した本質的・革新的なダイナミクスの解析と制御法の提案を行っています(具体的な研究テーマは研究概要を見てください)。世界的に見ても、理論と実験両面から非線形ダイナミクスへアプローチできる研究室は非常に少ないため、海外からも多くの見学者が来訪し、外国人研究者が滞在して共同研究を行うなど、国際色豊かな研究室です。

研究室ゼミはもとより、国際会議(国内会議ではあまり発表しません)での発表の機会も多くあり、海外の研究者ともすぐにコミュニケーションがとれるようになります(英語でのプレゼンテーションも独自に指導します)。また海外の共同研究者と緊密に連携を取りながら研究を行うため、海外の研究室に短期間滞在しグローバルな視点で研究を行うことも可能です。研究の合間には飲み会やリクリエーション(勉強なしの合宿など)など、研究一辺倒ではなくメリハリを大事にする研究室です。

本研究室出身者は機械工学を専門とした学生としてみなされるため、就職の際非常に有利であることは言うまでもありません。若い学生諸君には、薄っぺらい(一見面白そうで社会の役に立ちそうだが、実は中身のない:実は何の役にも立たない)「学問のようなもの」を身につけて社会に出るのではなく、真に人間に役に立つものづくりを可能にする、本当の意味での学問を身につけて、日本のため、世界のため、人類のために社会で貢献してもらいたいと考えています。

藪野研究室は筑波大学に移ってからまだ日が浅いため、これから新しい研究室を作り上げていこうという、フロンティア精神とやる気のある学生を大いに期待しています。

研究室を志望する皆さんへ

筑波大学工学システム学類、知的・機能システム主専攻および環境開発工学主専攻・エネルギー工学主専攻の学生さんで研究内容に興味のある方は下記のメールアドレスに連絡してください(学年を問わず、見学・進学相談に応じます)。

他大学出身者で、修士課程からまたは博士後期課程から藪野研究室で研究を始めたいという方も歓迎します。いつでも見学・進学相談に応じますので、下記のアドレスへ連絡してください。

連絡先: yabuno@esys.tsukuba.ac.jp

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